鈴木則文のポルノ路線参入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 09:26 UTC 版)
「温泉みみず芸者」の記事における「鈴木則文のポルノ路線参入」の解説
石井輝男の"異常性愛路線"は一年半の間にハイペースで撮られたもので、"温泉芸者シリーズ"の方は、毎年夏一作の恒例映画であったため、シリーズ4作目の本作製作時には石井の"異常性愛路線"は終了していた。「ヤクザ映画以外にもう1本ラインがないと興行が弱い。若者のラインを何とか確立したい」と考えた岡田が天尾と相談し、新人時代から目をかけていた鈴木則文を東映エロ路線の柱に据えようと考えた。映画の内容から交渉した温泉地から全部ロケを断られ、予算の都合上、タイアップが必要で、天尾が「鈴木の実家は静岡の伊豆だったな」と思いついた。鈴木と天尾は親友だった。鈴木は当時、俊藤浩滋の要請で任侠映画路線を着実に歩んでいた。天尾と渡邊達人企画部長から「これ一本やってくれたら俊藤さんに返すから。岡田さんの方針通り頼むよ」といわれ、「映画は大衆娯楽」と岡田と信念が一致する鈴木はこれを受けた。鈴木は「岡田さんにはめられたんだよ。他に撮れる監督がいないんだからさ。やらないとは言えない。なかなか素人では撮れない。石井さんだってちゃんとプロの女優を使ってるんだよ。俺みたいに熱く人間として使ってないからね」などと述べている。鈴木は「映画は見世物なんだから、エロで何が悪い!」と東映ポルノを軽視する東映京都の風潮に反発を抱いていた。 鈴木はこの後、任侠映画に戻ることはなかった。岡田は天尾と鈴木のコンビで東映ポルノ路線の続行を厳命、鈴木はこの路線に踏み込んだことで秘めたる才能を開花させた。本作以降、鈴木の作風は大きく変わり、新たなステージに突入、東映ポルノ路線の連作へ突き進む。今日評価される鈴木のエロ喜劇、ナンセンスコメディは本作を始まりとしている。「岡田チルドレン」中島貞夫は、『大奥㊙物語』で、岡田と共に東映ポルノ路線を開拓した人物であるが、"温泉芸者シリーズ"の前作、3作目の『温泉こんにゃく芸者』で監督を務めており、東映ポルノを本格化させた。東映ポルノのローテーションを鈴木と中島の二人で回していると若手監督から不満の声も出た。
※この「鈴木則文のポルノ路線参入」の解説は、「温泉みみず芸者」の解説の一部です。
「鈴木則文のポルノ路線参入」を含む「温泉みみず芸者」の記事については、「温泉みみず芸者」の概要を参照ください。
- 鈴木則文のポルノ路線参入のページへのリンク