金漆とは? わかりやすく解説

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こし‐あぶら【×漉油/金漆】

読み方:こしあぶら

ウコギ科落葉高木山地自生樹皮灰色手のひら状の複葉で、小葉は縁にぎざぎざがある。夏、淡黄緑色小花集まってつき、秋に黒紫色の実を結ぶ。材は経木・箸(はし)などにする。名は、樹脂をこして金漆(ごんぜつきんしつ)とよぶ塗料作ったのにちなむ。


きん‐しつ【金漆】

読み方:きんしつ

コシアブラ樹脂液から精製した塗料奈良・平安時代、漆(うるし)と同じよう用いた一説に、上質透漆(すきうるし)のこととも。きんうるし。きんのうるし。こんしつ。


ごん‐ぜつ【漆】

読み方:ごんぜつ

コシアブラ樹脂液。塗料にする。


金漆

読み方:コシアブラ(koshiabura)

ウコギ科落葉喬木


金漆

読み方:コシアブラ(koshiabura), キンシツ(kinshitsu), ゴンゼツ(gonzetsu), ゴンゼツノキ(gonzetsunoki)

ウコギ科落葉高木薬用植物

学名 Acanthopanax sciadophylloides


金漆

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 08:37 UTC 版)

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金漆(ごんぜつ、きんしつ、こしあぶら)とは、かつて存在した様の天然樹脂塗料である。

概要

金漆とはウコギ科の木本植物カクレミノ、日本ではカクレミノに加えて、タカノツメとコシアブラの樹皮を傷つけて分泌される樹脂液を塗料に利用したもので、主成分の共役ジアセチレン化合物が日光で光重合して、黄金色の硬い耐水性の大きい塗膜になったものである[1]

日本中国朝鮮半島などで、甲冑矢鏃などの防錆や装飾のために塗装され、その発色は黄金色に輝いたという[2]。中国、朝鮮半島では黄漆とも呼ばれた[2]。なお、近現代の日本工芸で言う黄漆とは、江戸時代に開発された、漆に石黄を混ぜて黄色く発色させたものを指す。

日本では平安時代、中国では代にかけて使用が断絶したが[2]、朝鮮半島では長く使われ日本統治時代の昭和初期までの例がある。金漆の使用が断絶した経緯については、漆よりも耐久性に劣ること、樹脂液の採取が漆よりも少量で困難であること、漆工芸と蒔絵技法の技術の向上によるものと推定されている。

和名類聚抄』には「金漆 開元式云 台州有金漆樹 金漆和名古之阿布良」とあり、その樹の名が「許師阿夫良能紀」であるため、樹木のコシアブラの名の由来ともされてきた。ただし、金漆とコシアブラを結びつける資料は『和名類聚抄』しかない[3]。寺田晃は、漆は古代中国の台州(越の国)産の塗料で、本来は越(えつ)の油であるべきものが越(こし)油と読まれ、こしあぶら(金漆)の語源になったと推定した[1]

また、寺田の研究により、金漆の素材はそれぞれウコギ科カクレミノタカノツメ、コシアブラから採取されたことがわかったが、採取量の大半はカクレミノで、コシアブラからはほとんど採取できないという[1]。なお、朝鮮半島産の金漆はチョウセンカクレミノの樹脂液である[1]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d 寺田晃 (1994-03). “古代塗料金漆の原料植物、朝鮮カクレミノ、日本カクレミノと琉球カクレミノの調査報告”. 梅光女学院大学論集 (梅光女学院大学) 27: 42-52. http://ypir.lib.yamaguchi-u.ac.jp/bg/metadata/562. 
  2. ^ a b c 寺田晃 (197-03). “古代塗料・こしあぶら(金漆)の語源”. 梅光女学院大学論集 (梅光女学院大学) 30: 12-20. http://ypir.lib.yamaguchi-u.ac.jp/bg/metadata/590. 
  3. ^ 増田 昌弘. “古文献に見る「金漆」について”. 東北芸術工科大学. 2020年12月14日閲覧。

参考文献

  • 『大辞林』三省堂、2006年
  • 『大辞泉』小学館、2012年

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