重い円盤中での傾斜角不安定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/22 14:00 UTC 版)
「プラネット・ナイン」の記事における「重い円盤中での傾斜角不安定」の解説
Ann-Marie Madigan と Michael McCourt は、遠方の重い円盤の中での傾斜角不安定が eTNOs の近日点引数の偏りの原因になっていると主張している。傾斜角不安定とは、小天体からなる円盤が太陽などの中心星を高い軌道離心率(0.6以上)で公転している際に発生する不安定性である。円盤の自己重力によって円盤が自発的な組織化を起こし、円盤中の天体の軌道傾斜角を増加させて近日点引数を整列させ、元々の軌道平面の上か下に円錐状に分布させるようになる。この過程が発生するには長い時間と非常に重い円盤質量を必要とし、数億年程度の時間、1〜10地球質量の円盤が必要とされる。傾斜角不安定は小天体の近日点引数を偏らせ近日点距離を上昇させることができ、そのため分離天体を形成することができるが、この過程では近日点黄経の偏りは発生しない。ブラウンはプラネット・ナインがより適切な説明であるとし、傾斜角不安定を発生させるのに十分な質量を持つ散乱円盤の存在は現在の調査では明らかになっていないと述べている。また、微惑星円盤の自己重力を取り入れた太陽系のニースモデルのシミュレーションでは、傾斜角不安定は発生していない。そのかわりに、シミュレーションでは天体の軌道の急速な歳差が生成され、大部分の天体は傾斜角不安定が発生するには短すぎる時間スケールで放出された。
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