還元主義と複雑系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 08:56 UTC 版)
20世紀半ばの分子生物学の台頭以降、その周辺分野では、一つの遺伝子・タンパク質の機能に注目する還元主義的なアプローチが主体だった。この手法は強力で、さまざまな生命現象を解き明かしてきた。しかし、分子レベルで明らかにしたことを組み合わせるだけでは、脳の活動や行動など複雑な現象は理解しがたく、還元主義のみでは限界があることもわかってきた。このことへの反省もあり、物理学的還元主義への傾倒から抜け出し、21世紀に入ってからは生物を複雑な系としてそのままあつかうオーミクスやシステム生物学等のアプローチも盛んになっている。一方、生物多様性をあつかう伝統的な生物学や生態学では、生物の作りだす系が複雑であることは自明だったため、複雑系のような全体論は目新しいものではない。生物学の両輪である、生物の多様性と普遍性に関する知見は、ゲノム解析によって結びつけられつつある。
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