道路交通需要及び道路整備維持の適正化と社会的費用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 20:59 UTC 版)
「ロードプライシング」の記事における「道路交通需要及び道路整備維持の適正化と社会的費用」の解説
道路交通発生需要及び道路整備維持は、社会全体での「純便益」: =「利用者便益」 - 「社会的費用(通常の費用に加えて、社会に与える負の効果である外部費用も合わせた費用)を最大とするように適正化(合理化)される必要がある。また、持続可能な公共交通、都市、社会の整備維持を含めて、適正化される必要もある。 道路の渋滞・混雑の問題点については、旅行時間増大等により都市及び社会全体での道路交通の「社会的費用」が、交通量に対して非線形的(加速度的)な増大を生じていることと考えることができる。これは道路利用者が加害者でもあり被害者でもある状態と見なすことができ、利用者は外部費用を明示的に請求されないので、道路利用を表層的に安価と見てしまうことによる利用者数の増大による過大需要が生じている状態と考えられる。 単純なモデルを用いると、一定区間道路の利用車台数 n {\displaystyle \,n} 、一台の得る便益 p {\displaystyle \,p} 、 一台が混雑により被る不便益 q {\displaystyle \,q} 、 総純便益 R {\displaystyle \,R} とする。利用者は外部費用である n d q d n {\displaystyle \,n{\frac {dq}{dn}}} を明示的に請求されないとすると、 p − q {\displaystyle \,p-q} の正負が利用・不利用の基準となるので、それによって実現される需要 n {\displaystyle \,n} (すなわち p − q ( n ) = 0 {\displaystyle \,p-q(n)=0} の解)は過大であり R {\displaystyle \,R} を極大化しない。 R = n p − n q ( n ) , d R d n = p − q ( n ) − n d q d n {\displaystyle {\begin{aligned}R&=np-nq(n),\\{\frac {dR}{dn}}&=p-q(n)-n{\frac {dq}{dn}}\end{aligned}}} 道路利用者の適正な社会的費用負担の原則(受益者負担の原則)の実施、並びに適正な道路交通需要及び道路整備維持の実現は可能と考えられている。これは道路を公共財と位置づけず、排除性・競合性が成立すると見なし、これに基づき通常の市場経済に委ねる考え方にも近い。但し実現のためには、適正な「道路課金及び需要に基づく道路整備維持」及び「料金徴収」を運用できる制度とシステム(例えば走行距離課金)の実現が前提条件である。
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