過去の改変は取り消される
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 20:11 UTC 版)
「親殺しのパラドックス」の記事における「過去の改変は取り消される」の解説
この解釈は他の解釈とも部分的に似ている。タイムトラベルが可能ならば親殺しのパラドックスを生じさせるような行為は不可能だとし、タイムトラベルそのものを取り消すようないかなる行為も不可能だとする。そのような行為はそれを取り消すような結果を生じ、関係者の記憶も書き換えられてその事象がなかったことになる。そして、過去を変えられるとしたら、その改変が必要なものだったということだと解釈する。 例えば、過去に遡って親を殺そうとしても失敗する。一方、別の誰かの死を防ぐために過去に遡って無作為に選んだ人々に何かをした場合、その行為は取り消されず成功する。なぜなら、タイムトラベルの理由やタイムトラベルそのものがパラドックスを生じないためである。 さらに、歴史上の大事件に関するような改変の場合、それがタイムトラベルを不可能にするような改変でない限り成功する。その場合、その時間旅行者が改変を行うと即座に本人のその事象についての記憶や知識が書き換えられる。 例えば、1887年のオーストリアにタイムトラベルした時間旅行者が無作為に選んだ5人の人間を殺し、その中に偶然アドルフ・ヒトラーの親が含まれていたとする。するとヒトラーは存在しないことになるが、その改変がタイムトラベルの存在を否定するものでない限り、そしてそのタイムトラベルの理由を否定するものでない限り、改変はなされる。しかし、その時間旅行をすることになった理由に影響が生じる場合、改変はできない。何者かが別の人間に過去に遡って特定の人間を(誰と明かさずに)殺させるという企みは成功しない(取り消される)。なぜなら、成功するとそもそも殺人を依頼する動機がなくなってしまい、タイムトラベルが行われないことになるからである。 この解釈をユーモラスに描いたエピソードがアニメ『フューチュラマ』にある。主人公のフライが過去にタイムトラベルし、うっかり祖母と結婚する前の祖父を死なせてしまう。取り乱した祖母はフライを誘惑し、もとの時間に戻ったフライは自分が自分の祖父だということを知る。
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