運用計画の基本的な考え方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 09:49 UTC 版)
「運用 (鉄道)」の記事における「運用計画の基本的な考え方」の解説
図1に簡単な列車計画(列車ダイヤ)と、それに対応した運用の案を2種類示す。右側の運用案の図では、赤の実線、緑の破線、青の点線がそれぞれ同一の編成または乗務員を用いて運転される列車であることを示している。この例では駅Bの位置に車両基地が存在するものとしている。なお、丸で示した記号は車両基地から本線への出発(出区)を、三角で示した記号は車両基地への本線からの到着(入区)を意味し、日本の鉄道事業者では一般的に用いられているものである。 本来、列車ダイヤを見れば同時刻に最大で2本の列車が運行されているだけであるので、2組の編成・乗務員で運行できるが、実際には列車の所在地の関係で3組の編成・乗務員が必要となっている。 この例では、駅Aでの折り返しの関係を変えたために、赤の実線と青の点線で表される編成や乗務員が割り当てられる列車が異なってきている。非常に単純な列車ダイヤである場合を除けば、この例のように1つの列車ダイヤに対して複数の異なる運用案が考えられ、実際の鉄道の膨大な数の列車に対してはその組み合わせだけの運用案が存在することになる。この運用案の中から、制約条件を満たしてかつ所要の編成と乗務員が少なくなるような計画を考えることが運用計画の目的である。 作成された運用計画は、箱ダイヤと呼ばれる形式の図表にまとめられる。図2に図1の運用案1に対応した箱ダイヤの例を示す。箱ダイヤでは同一の場所(駅)を縦に揃えて、編成や乗務員の移動を1本の折れ曲がった線で示している。実際にはこれに各列車の列車番号、折り返し駅や乗務の交代駅などの時刻や、出区・入区(出勤・退勤)時刻、1日の実働時間や走行距離といった情報が書き込まれている。同一の編成や乗務員で運転される一連の列車の組み合わせのことを行路(または仕業)と言う。 各編成や乗務員は毎日同じ行路で運用されるわけではなく、異なる行路に順に割り当てられる。行路に割り当てられる順番のことを交番という。運用計画は、行路の作成と交番の作成の2つに大きく分けられ、交番の作成のことを特に区別する時は交番計画(または充当計画・割当計画)と呼ぶ。交番はおおむね一定の順序となっているが、乗務員の休暇や車両の臨時の修理などの関係で必ずしも順序に沿わないこともあり、随時変更されるものとなっている。
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