進行態と完了態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 07:20 UTC 版)
神戸弁における相(アスペクト)は播州弁およびその他の西日本諸方言と共通であり、完了と不完了を区別する。それぞれ不完了(進行態)を動詞連用形+ヨー(よう)、完了(継続・結果態)を動詞連用形+トー(とう)で表現する。「ヨー」は完了後を示さず、「トー」は開始前を含まない。これらは西日本方言に広く見られる「ヨル(連用形+おる)」「トル(連用形+て+おる)」と同じ用法である。ただし、最近はこの区別が曖昧になりつつあり全て「~トル」「~トー」で済ましてしまう人も増えている。摂津方言ではこれの同根語として「ヨール」「トール」を使うが、「ヨール」には侮蔑のニュアンスが含まれる。大阪弁の「イル」に対し神戸弁が「オル」を使うのはこれに付随する現象で、大阪では「オル」の卑語化が起こったことにより代わりに「イル」で進行態を表現するようになった結果である(井上文子、1992年)。 文例1 蝉が死によう。(蝉が死にかけている。) 蝉が死んどう。(蝉が既に死んでいる。) 文例2 台風来ようから、たぶん電車止まりようで。(台風がやって来ているところだから、たぶん電車はもうすぐ止まるだろう。) 台風来とうから、たぶん電車止まっとうで。(既に台風が来ているから、たぶん電車はもう止まっているだろう。) その他、予備態の「トク」(標準語の「~ておく」)が存在する。この「トク」は継続動詞に付く場合の体系に崩れが起きており、戦前に「待っとう」だったのが戦後には「待っとく」となった。
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