農業機械への採用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 22:23 UTC 版)
「パワーステアリング」の記事における「農業機械への採用」の解説
農業機械にもパワーステアリングの採用例は多い。もっとも代表的なものがトラクターである。かつてのトラクターは、現代の物とは違って四輪駆動ではないものが多く、前軸重が軽いので腕への負担が少なかったこと、また技術的にも難しかったこともあり、あまり採用はされなかった。その後、ほぼ全ての機種で採用されている。農業用トラクターに装着されたパワステの操作力は、舗装路では人差指1本でハンドルを回せる程軽い。その理由としては、圃場へ入ることによる負荷の増大がある。特に湿田と呼ばれるような深い水田では、タイヤが土に埋もれてしまうため、より強い補助力が必要だからである。 農業用トラクター向けのパワーステアリングには、主に小型クラスを中心に採用され、シンプルな構造で整備コストが低い「インテグラル式」と、小型クラスのごく一部(最近では主にヤンマー製、三菱マヒンドラ農機製の各農業用トラクターに多くみられる)を含む中型〜大型クラスを中心に採用され、動作がより力強くアシスト性に優れる反面、複雑な構造で整備コストが高い「全油圧式」が存在する。インテグラル式はハンドルからタイヤまでをロッドやシャフト、ギヤボックスを介して機械的に接続した上で油圧で操作力をアシストする構造をしており、直進する際のハンドルのセンター位置が狂うことはないが、全油圧式はハンドル操作を一度油圧に変換し、油圧ホースを介して操作を伝達する構造のため、油圧のリークによりハンドルのセンター位置は一定しない。 走行部にクローラを装備したコンバインにおける旋回操作系において、昔は左右に旋回するためのトランスミッションのサイドクラッチ操作をワイヤーやロッドを介して手動で行っていたものを、電磁バルブと油圧装置に置換えて軽い操作力で旋回できるようにしたものをパワステと呼ぶことがある。
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