転造法
転造法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 05:09 UTC 版)
転造法は塑性加工属する鍛造法であり、材料を回転させながら硬質の金型に押し付けることで形を形成するものである。加工時間が短く材料の無駄も生じないが、高い加工精度は得られない。塑性変形に伴う加工硬化によって製品は硬くなる。 転造工程では、塑性変形によって谷が押し込まれる分だけ山が盛り上げられることでねじ山部分が形成される。このため、切削クズのような無駄となる材料は転造では生じない。ただし、加工精度を高めるために転造後に切削・研削を行うことはある。転造を行う工作機械は転造盤と呼ばれる。平ダイス式転造盤、丸ダイス式転造盤、プラネタリ式転造盤がある。おねじの場合には、ねじ山の形状を刻んだダイスで中間製品であるブランクを強力に挟み込み、間で回転させてねじ山を生成する。一般には、「ねじ転造」はこのおねじの転造加工を指す。めねじの転造は、切削タップと同様にねじ山の形状を刻んだ棒を中間製品であるフォーマーナットの穴に捻じ込んでねじ山を作るが、転造用のタップは切削用のものと異なりねじ溝を刻むための刃を持たない。転造では加工表面は変形により硬化し、またダイスとの接触で磨かれる。 ナットの少量の加工では、ドリルなどを備えたボール盤とほとんど同様の姿で、加工のための転造タップを備えた縦型ねじ立て盤が主に使われる。 ボルトの鍛造による量産加工では、ボルトフォーマーによって線材から太めの外形を備えた「ブランク」と呼ばれる中間製品を作り、平ダイス、丸ダイス、扇ダイスなどでねじ山を転造によって形成する。 ナットの鍛造による量産加工では、ナットフォーマーによって線材から穴の開いた「フォーマーナット」と呼ばれる中間製品を作り、自動ナットねじ立て盤によって内側のねじを加工する。自動ナットねじ立て盤のベントシャンクタップは、めねじ加工済みのナットを多数数珠繋ぎに周囲に通過させるという巧妙な工夫によって加工機本体とは直接接続されないまま回転力を受けることができる。
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