警察官による写真撮影の適法性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/15 06:56 UTC 版)
「京都府学連事件」の記事における「警察官による写真撮影の適法性」の解説
第二に、本判決は、撮影対象となる被疑者の同意や令状がなくても、写真撮影が適法とされる余地を明確に認めた(そして、本件写真撮影は適法であり、憲法35条に違反するものではないとした)。 本判決は、「次のような場合には、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、警察官による個人の容ぼう等の撮影が許容される」として、以下のように述べている。「現に犯罪が行われもしくは行われたのち間がないと認められる場合であって、しかも証拠保全の必要性及び緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度を超えない相当な方法を持って行われるときである。」 ただし、判示部分の意味については、争いがあり、主に以下の2つの見解が存在した。 第一は、最高裁は、捜査としての写真撮影を適法に行うためには、(1)現行犯的状況、(2)証拠保全の必要性・緊急性、(3)相当性という3つの要件が備わっていなければならない、という基準を示したのだ、という解釈である。 第二は、最高裁は、上記3つの要件を充たさない写真撮影は全て違法であるとまでは述べておらず、それ以外の場合(特に、(1)現行犯的状況がない場合)でも、写真撮影を適法とする余地は残している、という解釈である。 その後の裁判例においては、第二の見解に立つものが続いたが、最高裁平成20年4月15日第二小法廷決定(事件番号平成19(あ)839)は、本判決について、「警察官による人の容ぼう等の撮影が、現に犯罪が行われ又は行われた後間がないと認められる場合のほかは許されないという趣旨まで判示したものではない」と述べた上で、公道上及びパチンコ店内において被告人の容ぼう等をビデオ撮影した捜査活動を適法と判断しており、少なくとも裁判例においては、第二の見解が支配的になったといえる。
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