謡曲「松風」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/16 08:42 UTC 版)
詳細は「松風 (能)」を参照 宮廷歌人であった在原行平が、須磨に流された際に出会った姉妹の海女を愛した話を基に、一途な恋慕や懊悩する女心を歌った叙情豊かで幽玄な趣を持った謡曲。 月の美しい秋の夜に、須磨の浦で諸国一見の旅の僧が、いわくあり気な松を見つけ、それが松風・村雨の旧跡と知り念仏を上げ弔う。とある塩屋[要曖昧さ回避]に宿を乞うため訪ねたところ、2人の若い女海人が浜辺の夜景をめでながら汐汲み車を引いつつ帰ってくるところだった。僧は一夜の宿を得ることができ喜びもあらわに、在原行平の詠歌「わくらわに」を口にし夕暮れに弔った松風・村雨の松のことを話したところ、2人の女は、突然涙を流し、「実は自分たちは行平の愛を受け、恋ゆえに思い乱れ世を去った松風村雨の亡霊である」と告げ、行平との契りが忘れがたく、その妄執にひかれて、こうして現れ来たものだと告げる。昔を懐かしみ、行平の形見の烏帽子と狩衣を取り出しては身に着けるとむせび泣き、そのうちには物狂おしく舞い、妄執からの解脱の回向を僧に請うと、たちまちにその姿を消してしまった。あとにはただ松に吹く風の音が残るばかり。旅僧の夢であった。
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