証拠規則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 09:06 UTC 版)
ジョン・ダワーは「この裁判が公正であったかどうかについての意見の相違は、軍事法廷の手続きとしてなにを適切と考えるかという前提の違いに表れる。陸軍長官スティムソンでさえ、一般の法廷でふつうにある、さらには軍法会議にもあるような、訴訟手続き上の規則や保証もなしにこのような裁判が行われるとは想像だにしなかった。軍事法廷、あるいは軍事委員会の手法が採用されたのは、そうすることで、検察側にほかの状況では許されない手続き上の裁量が、とくに証拠の証拠能力有無の裁量が可能になるからである」とし、連合国は被告の主張を正当化することを妨害するために、証拠に関して制限を加えたと指摘し、「勝者によって緩められた証拠規則が、裁判に恣意性と不公正の入りこむ余地を与えた」ことは明らかであると批判した。 極東国際裁判所条例13条に「本裁判において証明力あると認むるいかなる証拠をも受理する」とあり、英米法の証拠規則ほど厳格ではなかった。その一方で、手続きは英米法の考えによるとしたものの、一身の安全を図りたい被告人と治安維持の目的を達成したい原告人のゲームと捉えられる面もある英米法の手続きに対して、東京裁判は侵略や戦争中の不法行為の実態を明らかにするという目的も有していたため、証明力・信憑性があるかという観点からある程度変えられるのは当然という考え方もある。
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