解剖学的因子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/24 16:42 UTC 版)
子宮の形態異常によって起こる不育症である。頻度として最も多いのは子宮筋腫(特に粘膜下筋腫によるもの)によるものである。子宮筋腫自体は生殖年齢の女性の20〜50%に見られるといわれている。筋腫核の位置、数、大きさによって妊娠への影響は異なる。その他、中隔子宮、子宮発育不全、子宮動脈奇形、子宮内膜癒着、子宮内膜症があげられる。流産率が最も高いのが中隔子宮によるもので流産率が60%に及ぶ。子宮の先天的形態異常の原因は発生学によって説明が試みられている。胎生期のミュラー管の癒合によって子宮は形成されるがその癒合不全によって中隔子宮、重複子宮、双角子宮、単角子宮といった子宮形態異常が生じると考えられている。これらの異常は成人女性の1.9%に認められ、その15〜30%に反復流産が認められている。治療は手術である。中隔子宮のJones-Jones手術、双角子宮のStrassman手術などが有名である。これら古典的手術は手術侵襲も小さくなく、帝王切開での分娩を余儀なくされるためあくまで、反復流産を認め挙児希望がある例でのみ施行される。後天的な形態異常としては子宮腺筋症、子宮筋腫があげられる。子宮筋腫は粘膜下筋腫だけでなく、筋層内筋腫や漿膜下筋腫でも流産は起こりえる。これらの診断のためには内診の他、超音波検査、子宮卵管造影、子宮鏡、MRIなどがよく用いられる。
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