西南日本的音韻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/06 21:38 UTC 版)
沖縄、九州、高知県、紀伊半島南部、静岡県井川、山梨県奈良田、伊豆諸島などの太平洋側、西南日本では共通して以下の特徴がみられる。 [di],[du],[ti],[tu] (の一部)がある。 エ→イ、オ→ウと狭母音化する傾向がある。 [ei]音(母音連続)を「エー」でなく「エイ」という。 語頭に[p]音が存在する。 声門破裂音[ʔ]を頻用する。 1.は沖縄、九州、高知、紀伊半島南部、長野県南端、山梨県奈良田、伊豆諸島利島、伊豆諸島新島などでみられる。例)爪[tume](高知)、太陽:ティーダ[ti:da](沖縄)。また北陸・東北地方の山間部(石川県旧白峰村、新潟県村上市三面、山形県鶴岡市大鳥)にも[di],[du],[ti],[tu]などがみられる。2.は沖縄、九州、高知、静岡県井川、伊豆諸島全域で広く観察される。例) 雲[kumu](沖縄)、金[kani](三宅島坪田)、床[tuku](利島)。3.は沖縄、九州、高知、紀伊半島南部、伊豆諸島利島でみられ、これらの地域では先生を「センセー[senseː]」でなく「センセイ[sensei]」という。4.は沖縄、静岡県井川、八丈島でみられる。例)花[pana](沖縄)、干す[pusu](静岡県井川村)。5.については沖縄、九州、静岡県井川、山梨県奈良田などで声門破裂音[ʔ]が頻繁に聞かれ、沖縄では/ʔ/が音素として確立されている。例)[ʔami]雨(沖縄)。 方言学者の柴田武は『方言論』の中で、八丈方言について「音声印象からすると、どこか、沖縄の首里方言を思わせるものがある。」と記している。
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