襲撃の詳細
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/29 02:22 UTC 版)
喜多岡宅が襲われた時の物音を、謹慎中であった隣家の野村望東尼が聞いている。突然戸板が倒れたような大きな音や表を走る足音が聞こえた後、「こんちくしょう、こんちくしょう」と言う声と、何かを打つ音がした。異変に気付いた望東尼が家人と灯りを用意している間、「父上は大事なり、私も娘も手を負いたり」と喜多岡の妻が裏の家で寝ている息子に叫ぶ声と、家人が「いづこ、いづこ」と喜多岡を探す声が聞こえた。見つからないので望東尼の家人が戻り、喜多岡は逃げおおせたようだと報告していた時、夫が死んでいるのを見つけた妻の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。謹慎中で動けない望東尼は再び家人を喜多岡家に向かわせ、事の詳細を聞いた。 喜多村家の東側の遣り戸を壊して3人の刺客が入り込んできた。「勇平ありや」と憎々しげに言う2人の声がして、蚊帳のヒモが切り落とされた。喜多岡はそれに答えず、蚊帳から滑り出て北側の戸を押し破って外に逃げ出した。妻は部屋から出ず戸に身を寄せて潜んでいたが、娘が東の方に転がり出たので刺客の1人が喜多岡と勘違いして娘を一刀した。「勇平か」と聞くと斬られた娘が「父上」と声を出すと、刺客は娘を放り出して表に飛び出し、向かいの家の井戸の後ろで喜多岡に追いつき、一刀で斬ると、悠々と唄を歌いながら去って行ったという。娘は頭を4寸(12cm)ばかり斬られ、流れる血を押さえながら「私はいいから、父上を早く探して」と気丈に訴えたという。喜多岡の妻も「このような目に遭うのは常ながら、一太刀だに報いる事が出来なかったことが無念だ」と述べたという。
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