複製ライセンス化における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 07:13 UTC 版)
「MCM複合体」の記事における「複製ライセンス化における役割」の解説
複製ライセンス化は、ゲノムの一部が各細胞周期に複数回複製されることがないよう保証するシステムである。 S期の間にMCMの6つのサブユニットのうち少なくとも5つのいずれかが不活性化されると、進行中の伸長反応は迅速に遮断される。S期へ移行後のpre-RCへのMCM2-7複合体のさらなるローディングは冗長的なシステムで不活性化されており、DNA複製を1回しか行わないための重要な機構となっている。 MCM2-7の活性は伸長時にも調節される。DNA損傷、通常みられないようなDNA配列、デオキシリボヌクレオチド前駆体の不足などによって複製フォークの完全性の喪失が促進され、DNA二本鎖切断の形成や染色体組換えが引き起こされる場合がある。通常、こうした複製の問題はS期チェックポイントの活性化をもたらし、問題が解消されるまでの間、さらなる伸長反応の遮断や、複製フォークでのタンパク質-DNA相互作用の物理的な安定化によってゲノム損傷は最小化される。この複製フォークの安定化には、MCM2-7とMrc1、Tof1、Csm3(M/T/C複合体)との物理的な相互作用が必要である。これらのタンパク質が存在しない場合、二本鎖DNAの巻き戻しとレプリソームの移動はMCM2-7によって駆動され続けるが、DNA合成は停止する。この停止は、少なくともその一部は、DNAポリメラーゼεが複製フォークから解離することによるものである。
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