複合分子の追加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:37 UTC 版)
翻訳後修飾では、より複雑で大きな分子を折りたたまれたタンパク質構造に組み込むことができる。その代表的な一例は、多糖分子を付加するグリコシル化である。これは、翻訳後修飾の中でも最も一般的なものと広く考えられている。 グリコシル化とは、多糖分子(糖鎖またはグリカンとして知られる)がグリコシルトランスフェラーゼ(糖転移酵素)によって標的タンパク質に共有結合的に付加されることを言い、小胞体内やゴルジ装置内のグリコシダーゼによって修飾される。グリコシル化は、標的タンパク質の最終的な折りたたまれた立体構造を決定する上で重要な役割を果たすことがある。場合によっては、正しいフォールディング(折りたたみ)のためにグリコシル化が必要なこともある。N-結合型グリコシル化は、溶解度を高めることでタンパク質のフォールディングを促進し、タンパク質シャペロンとの結合を仲介する。シャペロンとは、他のタンパク質の折りたたみや構造維持を担うタンパク質である。 グリコシル化には大きく分けて、N-結合型グリコシル化とO-結合型グリコシル化の2種類がある。N-結合型グリコシル化は、小胞体内で前駆体糖鎖が付加されることで始まる。前駆体糖鎖はゴルジ装置で修飾され、アスパラギンアミノ酸の窒素に共有結合した複雑な糖鎖結合を生成する。他方、O-結合型グリコシル化は、成熟したタンパク質構造内のアミノ酸であるセリンとスレオニン上の酸素に対して、いくつかの単糖が共有結合で付加する。
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