衰弱・温低化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 14:12 UTC 版)
熱帯低気圧のエネルギー源は水蒸気の潜熱であるため、水蒸気の供給が減少すると勢力が衰える。海面水温が26度未満の海域に入った場合、または陸地に上陸した場合には水蒸気の供給が無くなるだけでなく、地表との摩擦が大きくなってエネルギーを奪われるため、急激に勢力が衰える。 また、熱帯低気圧が中緯度地域まで到達すると寒気の影響を受ける。熱帯低気圧に寒気が流入することで、温度差のある大気が混ざり合って、性質が暖気と寒気の境界に発生する温帯低気圧に近くなってくる。または熱帯低気圧内の暖気核が消滅して温帯低気圧に近くなることもある。これを温帯低気圧化(温低化)という。 温帯低気圧化は熱帯低気圧の外側から徐々に進行し、熱帯低気圧の北東側に温暖前線が、南西側に寒冷前線が形成され、これが徐々に熱帯低気圧の中心に向かって侵入していく。中心まで前線が侵入すると、この熱帯低気圧は温帯低気圧との違いはまったくなくなり、温帯低気圧に分類されるようになる。熱帯低気圧内の暖気核が消滅して温帯低気圧になる場合は、前線が低気圧の中心まで描かれない場合がある。 温帯低気圧のエネルギー源は暖気と寒気の温度差による位置エネルギーであるため、熱帯低気圧から温帯低気圧へ変化する場合は低気圧が衰弱するとは限らず、特に熱帯低気圧が持っていた暖気と寒気の温度差が大きい場合などは、温帯低気圧化により再発達することがある。例として、2013年10月に伊豆大島に甚大な被害をもたらした台風26号は、勢力があまり衰えない(960hPa)まま温帯低気圧に変わっている。
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