行列群としての有限群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/08 07:06 UTC 版)
すべての有限群はある行列群と同型である。これはすべての有限群はある置換群と同型であると述べるケイリーの定理(英語版)と似ている。同型の性質は推移的であるので、置換群から行列群をどのように構成するかを考えるだけでよい。 G を n 点 (Ω = {1, 2, …, n}) 上の置換群とし {g1, …, gk} を G の生成集合とする。複素数体上の一般線型群 GLn(C) は自然にベクトル空間 Cn に作用する。B = {b1, …, bn} を Cn の標準基底とする。各 gi に対して Mi ∈ GLn(C) を各 bj を bgi(j) に送る行列とする。つまり、置換 gi が点 j を k に送るならば、Mi は基底ベクトル bj を bk に送る。M を {M1, …, Mk} で生成される GLn(C) の部分群とする。すると G の Ω 上の作用はちょうど M の B 上の作用と同じである。各 gi を Mi に送る対応は同型に拡張され、したがってすべての群は行列群に同型であることが証明できる。 M は成分が 0 か 1 の行列しか含まないので体(上の場合 C)は無関係であることに注意しよう。0 と 1 はすべての体に存在するので任意の体に対して同じ構成をができる。 例として、G = S3、3点上の対称群とする。g1 = (1, 2, 3) と g2 = (1, 2) とする。このとき M 1 = [ 0 0 1 1 0 0 0 1 0 ] {\displaystyle M_{1}={\begin{bmatrix}0&0&1\\1&0&0\\0&1&0\end{bmatrix}}} M 2 = [ 0 1 0 1 0 0 0 0 1 ] {\displaystyle M_{2}={\begin{bmatrix}0&1&0\\1&0&0\\0&0&1\end{bmatrix}}} M1b1 = b2, M1b2 = b3 そして M1b3 = b1. 同様に、M2b1 = b2, M2b2 = b1 そして M2b3 = b3.
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