自己相似集合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 16:11 UTC 版)
一般の距離空間 (X, d) において狭義の相似性 (exact similitude) とは距離空間 X からそれ自身への写像であって、任意の距離を特定の同じ(f の縮小因子 (contraction factor) と呼ばれる)スカラー r -倍するものをいう。任意の2点 x, y について d ( f ( x ) , f ( y ) ) = r d ( x , y ) {\displaystyle d(f(x),f(y))=rd(x,y)} が成り立つ。これより条件の弱い(広義の)相似性が、たとえば写像 f が双リプシッツ連続で、スカラー r が(2点を十分近づける)極限における縮小因子として lim d ( f ( x ) , f ( y ) ) d ( x , y ) = r {\displaystyle \lim {\frac {d(f(x),f(y))}{d(x,y)}}=r} を満たすといった条件で与えられる。この弱い形の相似性は、距離が位相幾何学的自己相似集合上の実効抵抗である場合などに用いられる。 距離空間 (X, d) の自己相似部分集合とは、X の部分集合 K であって、縮小因子 rs を持つ相似変換 fs の有限集合 {fs}s ∈S で ⋃ s ∈ S f s ( K ) = K {\displaystyle \bigcup _{s\in S}f_{s}(K)=K} となる X のコンパクト集合が K のみとなるようなものが存在するものをいう。このような自己相似集合は次元 D の自己相似測度 μD を持つ。ここで次元 D は ∑ s ∈ S ( r s ) D = 1 {\displaystyle \sum _{s\in S}(r_{s})^{D}=1} で与えられるもので、これは(常にではないが)多くの場合その集合のハウスドルフ次元およびパッキング次元(英語版)に等しい。(s を動かしたときの)fs(K) の重なりが「小さい」ならば、測度を μ D ( f s 1 ∘ f s 2 ∘ ⋯ ∘ f s n ( K ) ) = ( r s 1 ⋅ r s 2 ⋯ r s n ) D {\displaystyle \mu ^{D}(f_{s_{1}}\circ f_{s_{2}}\circ \cdots \circ f_{s_{n}}(K))=(r_{s_{1}}\cdot r_{s_{2}}\cdots r_{s_{n}})^{D}} という簡単な形の式に表すことができる。
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自己相似集合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/14 10:21 UTC 版)
自己相似性条件によって定義された多くの集合は明示的に決定できる次元を持つ。大まかには、集合 E が自己相似であるとは、それが適当な集合値変換 ψ の不動点、すなわち ψ(E) = E となるときに言う。正確な定義は以下に与える: 定理 Rn 上の写像の列 ψ i : R n → R n , ( i = 1 , … , m ) {\displaystyle \psi _{i}\colon \mathbb {R} ^{n}\to \mathbb {R} ^{n},\quad (i=1,\dotsc ,m)} が縮小定数 ri < 1 を持つ縮小写像ならば、空でないコンパクト集合 A が一意に存在して A = ⋃ i = 1 m ψ i ( A ) {\displaystyle A=\bigcup _{i=1}^{m}\psi _{i}(A)} が成り立つ。 定理はバナッハの不動点定理を Rn の空でないコンパクト部分集合全体がハウスドルフ距離に関してなす完備距離空間に適用することで得られる(Theorem 8.3)。
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