腫瘍の治療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 04:31 UTC 版)
どの様な治療法が必要になるかは腫瘍の性質に完全に依存する。症状によっては(急性白血病などでは)呼吸管理や化学療法から始める必要があるが、それ以外はまず通常の健康診断や血液検査で対応する。 大抵の場合は、外科的に手術で腫瘍の全摘出を試みる。手術により、実際にかなりの確率で腫瘍を除去することができる。しかし残りの場合には、しばしば手術が不可能である。その理由は、至る所に転移していたり、腫瘍が基幹組織に浸潤していたりで、患者の生命を脅かすことなしに手術ができない場合である。また二、三の例外もあり、卵巣癌の場合、腫瘍組織を全て摘出できなくとも、外科手術によって病状は好転する。この様な方法を(腫瘍組織の総量を減少させるので)減量手術と呼ぶ。 臓器切除により機能・形態が損なわれ、生活の質(Quality of Life)が著しく低下する腫瘍の場合は、できるだけ臓器の温存が望まれる。頭頚部腫瘍などでは、切除により嚥下・発声・外観などが損なわれるため、早期癌の場合、まず放射線治療での制御が選択され、放射線治療で制御困難な進行例では切除術が選択される場合が多い。 また切除術、放射線治療、化学療法単独では制御困難な進行例では、各治療法を組み合わせた集学的治療が検討される(術前照射(化学療法)、術後照射(化学療法)、化学放射線療法(chemoradiotherapy))。詳細については各療法の項目を参照のこと。 ある種の腫瘍には免疫療法に感受性があるものも存在する。現時点では、免疫療法単独での腫瘍制御までは至っていないが、症状の緩和や集学的治療の一環として実施され、盛んに研究がなされている。 最近の研究で腫瘍に酸素を当てると破壊されるということがわかっている。放射線治療や化学療法を行う上で出てくる副作用が酸素療法にはないため最先端の治療として期待されている。 抗癌剤の副作用が厳しい場合には漢方薬による治療が1つの手段として挙がる。漢方薬を利用することによって過剰な服薬や医療費の抑制を行うことができる。
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