翻訳学習者の誤訳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/15 21:22 UTC 版)
大西ほか(2017)は、翻訳学習者が誤訳をしてしまう原因をインタビュー調査を通して分類している。それによると、誤訳の原因は、翻訳作業の中で当該箇所に特段の「考慮」をしたか、すなわち、その部分を訳すときに一定の時間を使って考え直したり、調べたりしたか、否かで大きく二つに分けられる。こうした考慮がなされていない誤訳には、(1) 不注意による起因する誤り(見落とし、見誤りなど)と (2) 思い込みに起因する誤り(語義を誤って記憶しており、辞書等で確認せずにそのまま訳してしまうなど)がある。考慮がなされたにもかかわらず誤訳となった例には、(3) 原文の意味に対する迷い(多義的な単語をどのように訳せばよいか判断がつかず、曖昧に解釈できる表現を選んでしまうなど)、(4) 原文の意味を取り違える(原文を誤解し、場合によっては原文にない説明的表現も盛り込んで訳してしまうなど)、(5) より適切な訳を求めて(日本語の表現として適切なものを推敲しているうちに、結果として不適切なものを選択してしまうなど)による誤訳がある。特に (5) は翻訳者が原文の内容を理解できていたにもかかわらず、結果として誤訳してしまう例であり、翻訳指導の上で (1)から(4) に対する指導方法とは異なる対処が必要だとされている。 考慮原因の分類原文内容の理解なし (1) 不注意による起因する誤り できていない (2) 思い込みに起因する誤り あり (3) 原文の意味に対する迷い (4) 原文の意味を取り違える (5) より適切な訳を求めて できていた
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