義経の登場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/23 17:17 UTC 版)
義経の亡霊(後シテ)が登場する。面は平太(へいだ)(または今若)で、黒垂、梨子打烏帽子、法被、半切、太刀を身に着けた武者の姿である。 ワキ〽不思議やな、はや暁にもなるやらんと、思ふ寝覚の枕より、甲冑を帯し見えたまふは、もし判官にてましますかシテ「われ義経が幽霊なるが、瞋恚に引かるる妄執にて、なほ西海(さいかい)の波に漂ひ 〽生死(しょうじ)の海に沈淪せり [僧]不思議なことだ。はや明け方にもなろうかと思う寝覚めの枕元から、甲冑を着けてお現れになったのは、もしや判官(義経)でいらっしゃいますか。[義経]私は義経の幽霊だが、瞋恚(怒りの煩悩)のために執心が残り、今でも西国の海の波に漂い、輪廻の苦しみの海に沈んでいるのだ。 僧は、心の持ち方によって生死の海とも見え、真如の月とも見えるのだと諭すが、義経は、合戦の有様を忘れることができないと言う。 ワキ〽昔をいまに思ひ出づるシテ〽船と陸(くが)との合戦(かせん)の道ワキ〽所からとてシテ〽忘れえぬ [僧]昔を今思い出す[義経]船の陣と陸の陣との合戦の道を[僧]この場所柄とあって[義経]忘れることができない。
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