線維柱帯切除術 (トラベクレクトミー、濾過手術ともいわれる)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 14:45 UTC 版)
「緑内障」の記事における「線維柱帯切除術 (トラベクレクトミー、濾過手術ともいわれる)」の解説
虹彩に小さく開口部を作るとともに強膜に水が流れる通路を造り、後房から強膜外 (眼球外) へと房水を排出する。眼圧降下作用が大きく、効果の長期的な持続が見込める。創傷治癒を抑制するためにマイトマイシンC (抗がん剤性抗生物質) を併用する場合が非常に多い。 (かっては5-フルオロウラシル (5-FU代謝拮抗剤) を使用していた。) 原発開放隅角緑内障に対する緑内障手術の成績は、緑内障手術後平均3.8年 (最長8年) の最終観察時点での眼圧が20 mmHg以下であったものが76 %、15 mmHg以下であったものが59 %であった。合併症としては結膜からの房水漏出、脈絡膜剥離、悪性緑内障、駆出性出血、線維柱帯切除部閉鎖、濾過胞機能不全、乱視、視力喪失、濾過胞からの房水漏出、低眼圧黄斑症、感染性眼内炎、白内障、濾過胞の角膜上への張り出しなどの可能性がある。末期緑内障に対する手術では中心視野を喪失する場合もある。前房に穿孔しない非穿孔性線維柱帯切除術という変法は術直後の合併症を軽減できるものの眼圧コントロールを維持することが原法よりも困難であり適応は限られる。また初回の線維柱帯切除術と比較すると2回目以降の線維柱帯切除術は有意に術後成績が下降する。近年、円蓋部基底結膜弁線維柱帯切除術によりろか胞感染症の予防効果を評価する大規模な前向き研究が緑内障学会を主体に行われたが、円蓋部基底結膜弁と輪部基底結膜弁線維柱帯切除術の間にろ過法感染の発生に関して明らかな差はなかった。また2012年4月からエクスプレスという緑内障フィルトレーションデバイスが保険収載され用いられている。
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