網と生活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/01/19 13:48 UTC 版)
トリノフンダマシ類が、実は夜行性で、夜になると網を張ることが分かったのは、1950年代である。萱嶋泉、大熊千代子による夜間観察の結果である。 彼らの網は、水平円網であるが、ちょっと変わった特徴がある。非常に目が粗く、直径が1m近くになるのに、縦糸は10本ほど、横糸もそれくらいしか張らない。しかも、横糸は螺旋ではなく、ほとんど同心円に(実際にはわずかにずれる)張られている。また、横糸は大きくたるんでいる。これは、足場糸を張らず、必ず中心を経過して次の縦糸へと糸を張って行くためとも見られる。横糸には粘球がずらりと並んで、白っぽく光って見えるが、縦糸に接続する部分だけは粘球が着いていない。横糸に昆虫がかかると、横糸はどちらかの端で切れて、縦糸から昆虫がぶらさがる形になる。クモは縦糸に沿ってやって来ると、横糸を手繰って虫を吊り上げるようにする。この網にかかる昆虫は、ガが多いことが知られている。 近年、ナゲナワグモの習性とトリノフンダマシの習性の関連が問題になっている。ナゲナワグモは、先端に粘液球をつけた糸を、足先にぶら下げ、虫が近づくとそれを振って虫にくっつけ、吊り上げて食べる。このクモの餌が特定のガの、しかも雄だけであることが判明し、そこから、ガのフェロモンに擬態した物質でガを誘引していることが判明した。そこで、トリノフンダマシの横糸で虫を吊り上げるやり方から、次第に縦糸横糸を減らし、ついに横糸1本を手に持ってぶら下げるようになったと見るのである。トリノフンダマシ類の場合も、獲物はガが中心であることが知られている。そこで、トリノフンダマシ類も疑似フェロモンを持っているのではないかという説もある。しかし、そうではないとする意見もある。ナゲナワグモの場合に比べ、獲物とするガの範囲がはるかに広いとの観察があるからである。
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