結晶構造の詳細
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/18 08:07 UTC 版)
「タングステン酸ジルコニウム」の記事における「結晶構造の詳細」の解説
立方晶 ZrW2O8 の結晶構造における原子団の配置は、単純な NaCl 型結晶構造と類似している。ZrO6 八面体が Na サイトを占め、 ZrW2O8 原子団が Cl サイトを占める。単位胞は辺の長さが 6990915462000000000♠9.15462 Å の単純立方ブラベー格子で、44原子を内包する。 ZrO6 八面体は正八面体構造からわずかしか歪んでおらず、全ての酸素原子サイトは対称な関係にある。W2O8 単位は、互いに結合していない結晶学的に異なる2つの WO4 四面体からなる。これら2種類の四面体は異なる W-O 結合長および結合を持つ。WO4 四面体は1つの酸素原子が拘束されておらず(中心タングステン (W) 原子にしか結合していない)、他3つの酸素原子はジルコニウム原子とも結合している(すなわち頂点共有されている)ため、対称性が崩れており正四面体構造から歪んだ構造を持つ。 低温では結晶構造の空間群は P213 である。より高温ではタングステン酸原子団の配向の乱れから反転対称中心が生じ、相転移温度 (7002180000000000000♠~180 °C) より高い温度では空間群は Pa3 となる。 八面体と四面体は酸素原子を共有して互いに結合している。図中の八面体と四面体が接している位置が共有される酸素原子のサイトである。四面体と八面体の頂点は酸素原子サイト、中心にはジルコニウムおよびタングステン原子サイトである。これら二つの構造は、共有頂点の酸素原子サイトを中心として、多面体構造そのものを歪ませることなく幾何学的に回転できる。特定の低周波固有振動モードにおいて、この回転運動が前述の RUM による収縮を引き起こすことが負の熱膨張の由来であると考えられている。
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