経眼窩ロボトミー=アイスピック・ロボトミー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/30 16:23 UTC 版)
「ウォルター・フリーマン」の記事における「経眼窩ロボトミー=アイスピック・ロボトミー」の解説
ロボトミーを開始して10年後、フリーマンは、イタリアの精神科医アマロ・フィアンベルティの論文より、眼窩(眼球を収める頭蓋骨のくぼみ)を経由して大脳に到達する技法を知った。それを使えば、頭蓋骨を砕く事なく大脳にメスを入れる事ができるのである。この新しい技法について実験を行った後、フリーマンはこの技法「経眼窩ロボトミー」の手順を完成させた。 この技法は別名「アイスピック・ロボトミー」としても知られ、金属製の錐状の棒(本物のアイスピックが使われた事もあるという)を、左右の瞼の裏から眼窩に差し込み、頭蓋骨の最も薄い部分を破砕して前頭葉に到達し、前後にそれを動かす事で、前頭前野皮質への神経繊維を無造作に切裁するというものである。彼はワシントンD.C.で、最初の経眼窩ロボトミーを行ったが、この方法は、脳神経外科や麻酔科医の助けを借りず、電気ショック療法による全身麻酔のみで行う事ができるため、手術室以外で処置が行えるだけでなく、簡便さ、処置時間の短さにおいても、当時は画期的なものであった。 実際、この術式の「発展」により、より多くの「治療」を行う事ができるようになり、当時精神病患者で慢性的に溢れ、医師や看護婦の数も絶対的に不足していた全米の精神病院で実施されるようになった。しかし、長年の協力者であったワッツは、通常は手袋やマスクもせずに実施する、経眼窩ロボトミーの濫用と残虐性について、フリーマンと意見が対立し、1950年、彼の元を去る事になった。
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