経済行動への応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 05:00 UTC 版)
Alos-FerrerとStrackによると、二重過程理論は、ある人の自己概念は文脈に依存する複数の自己によって成立するという複数自己モデルを通じて、経済学的な意思決定と関係がある。例として、学生としては勤勉で知的である人が、兄弟に対しては思いやりがあって協力的であることが挙げられる。意思決定では自動的な過程とコントロールされた過程の両方が使われており、人や状況にも依存しており、人の経験やその時の状況を考慮すると決定プロセスが変わることがある。違ったゴールに対する二つの決定プロセスがあるとすると、その二つの片方は特定の状況においてより有益である可能性が高い。例えば、ある人が利己的だが合理的な動機と、社会的な動機が絡んだ決定を提示されたとする。個人によって、片方の動機はもう片方の動機に比べてより魅力的に映るかもしれないが、状況によってそれら二つの動機に対する好みは変わってくるかもしれない。二重過程理論を用いるとき、ある動機が別の動機と比較してより自動的かどうかを考えることは重要である。そしてこの特定の事例において、その自動性は個人とその経験に依存する。非利己的な人に比べると、利己的な人は自動的に利己的な動機を選びやすいかもしれないが、状況や金銭的利益や社会的圧力になどの外的要因などによって、コントロールされたプロセスがこの自動的な選択に勝るかもしれない。個人がどの動機を選ぶかに関して個人の安定した好みがあるとしても、外部の要因がその決定に影響することを覚えておくことは重要である。二重過程理論は経済学における行動の不均一性に対して別の説明も提供する。経済学において、この不均一性は好みと合理性における違いから来ていると大まかに推測されている。同時に二重過程理論は、どのプロセスが自動化されているかと、違ったプロセスが意思決定とどのように相互作用しているかについて考察することが必要であることを示している。
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