経済的、社会的正義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/13 06:04 UTC 版)
「キム・スタンリー・ロビンソン」の記事における「経済的、社会的正義」の解説
ロビンソンの作品はしばしば現代の資本主義社会への代案を提示する。《火星三部作》では、資本主義を封建主義の成長したものと捉え、未来ではもっと民主主義的な経済システムに置き換えられるという考えが出てくる。『グリーン・マーズ』と Blue Mars では、企業を代替するものとして「労働者による所有(Worker-ownership)」や生活協同組合を描いている。<<オレンジカウンティ三部作>>でも同様で、Pacific Edge では社会的な平等主義を促進するために企業の支配の背景となっている法律的枠組みを攻撃するアイデアが出てくる。 ロビンソンの作品では、個人主義や起業家精神を特徴とする環境において、世界を守り強化しようと奮闘する主人公を描くことが多く、その環境で働く企業の政治的または経済的な権威主義に直面することが多い。反資本主義者と言われており、社会主義体制によく似た理想を掲げたフロンティア資本主義の一形態を描くことが多く、既存の覇権主義的企業による資本主義と対立する。特に火星三部作に登場する火星の憲法は社会民主主義思想に沿ったもので、政治経済活動における住民参加要素を明確に強調している。 ロビンソンの作品における環境的・経済的・社会的テーマは、かつてSF作家に多かったリバタリアンSFと対比される(例えば、ロバート・A・ハインライン、ポール・アンダースン、ラリー・ニーヴン、ジェリー・パーネルなど)。彼の作品は「アーシュラ・K・ル=グウィンの『所有せざる人々』(1974年)以来の反資本主義によるユートピアを描いて成功した作品」といわれている。
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