紙芝居『つなみ』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/22 16:54 UTC 版)
田畑ヨシが1979年に制作した手製の紙芝居。本来は、県外へ転居していた長女一家が県内へ転居してきた際、孫たちに津波の体験を聞かせるために作ったものだが、後に周囲の評判を呼び、県内の小中学校や消防団から紙芝居講演の依頼が舞い込みむようになると、紙芝居の読み聞かせを開始した。内容は、幼いヨシが祖父から津波の教訓を聞かされながら育ち、やがて実際に昭和三陸地震の津波に遭うといった実体験の物語で構成されている。 2011年の東日本大震災では、学校への配布物として印刷するために高台の役所に預けられていたため、紙芝居は津波の被害を免れる。同年、岩手大学教授・山崎友子の監修により、英訳と解説文を加えて絵本化され、産経新聞出版より市販された。防災教育に役立てたいとの依頼により、各地の小中学校や自治体にもこの絵本が置かれるようになった。また、山崎友子のウェブサイトでもPDFファイルにより全ページを閲覧できる。 東日本大震災後の講演においては、現代にも通じる内容と、素朴な絵と優しい語り口が、同震災の被災者の間で脚光を浴びている。同震災の被災者の中には、この紙芝居を聞いていたおかげで助かったと語る者もいる。山崎友子は本作について、昭和初期の津波を綴った作品にもかかわらずその教訓が現代にも通じること、防災、自然との共生、愛情がテーマに込められており、かつ作者が東日本大震災後に講演を再開したことで、「生きる」という新たなテーマが加えられていると評価している。
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