等吸収点のプロット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/17 07:37 UTC 版)
等吸収点は吸光光度法(モル吸光を用いるか、または両方の化学種の濃度を一定に保って吸光度を測る)によって得られた吸収スペクトルを重ね合わせ、全てのサンプルの吸光スペクトルが交わった波長を等吸収点とする。 また、等吸収点が多数あることもある。 反応が1対1(1モルの反応物から1モルの生成物ができる反応で、平衡状態を含む)であり、反応物と生成物が等吸収点を持つ時、等吸収点において反応している混合物の吸光度は反応進行度(英語版)や化学平衡の状態によらず一定である。これは反応物と生成物のその波長の光の吸光度が等しく、分析的濃度が一定だからである。 例えば、 X → Y {\displaystyle X\rightarrow Y} c X + c Y = c {\displaystyle c_{X}+c_{Y}=c\,} A = l ⋅ ( ϵ X c X + ϵ Y c Y ) {\displaystyle A=l\cdot (\epsilon _{X}c_{X}+\epsilon _{Y}c_{Y})} . ここでlは光が混合物を通過する長さである。(混合物の光学的距離ではない) しかし、等吸収点では、それぞれの分子のモル吸光は等しい。 ϵ X = ϵ Y = ϵ {\displaystyle \epsilon _{X}=\epsilon _{Y}=\epsilon \,} . A = l ⋅ ( ϵ X c X + ϵ Y c Y ) = l ⋅ ϵ ⋅ ( c X + c Y ) = l ⋅ ϵ ⋅ c {\displaystyle A=l\cdot (\epsilon _{X}c_{X}+\epsilon _{Y}c_{Y})=l\cdot \epsilon \cdot (c_{X}+c_{Y})=l\cdot \epsilon \cdot c} と表され、反応の進行度や、XやYそれぞれの濃度には依存しない。 等吸収点が現れるためには、2つの化学種が化学量において互いに線形的に関わっていることが必要である。例えば、1つの物質においてある特定波長で吸光度がただ一つに決まることなどである。したがって、物質量比が1対1でない混合物でも等吸収点が現れることがある。また、等吸収点がある場合、通常濃度変化によって吸光度が変化し、吸光に関わる化学種は2種類しかない。もし3つめの物質のスペクトルが存在する場合、その交点の波長は一定ではなくなり、濃度によって変わるようになる。それは、3つの化合物がある特定波長での吸光係数について線形の関係を持つことはほとんどないからである。
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