第2記録
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/05 15:37 UTC 版)
先にも出た池谷村(十日町市池谷)のある者が14~15歳の頃の話として語るところでは、村娘の中に、問屋から指名で注文を受けるほどの腕前をもつ機織り名人がいた。 まだ冬の雪が残る頃、家族が全員外出し、この娘が1人で機織りをしていたところ、家の窓辺に異獣が現れた。娘は驚いて逃げようとしたが、作業上の理由で腰と織機とを結び付けていたため自由が効かず、どうにも出来ないでいたが、獣は危害を加える様子はなく、竈側にある飯櫃を見て物欲しげにしていた。 娘はこの獣に関する噂を聞いていたので、握り飯を2・3個作って与えてやると、獣は喜んで去っていった。その後も獣は娘が家に1人いる時に現れては飯をねだるようになり、娘も慣れて恐れを感じなくなっていった。 ある日、高い身分の者から急ぎでの縮の注文が入り、娘が製作に取り掛かった矢先、月水(生理)が始まってしまい、習わしから作業場に入れなくなってしまった。このままでは納期に間に合わない恐れがあり、娘も両親も悲嘆に暮れた。月水3日目の夕方、家族が農作業に出た隙に久しぶりに異獣が現れた。娘は粟飯を与えながら、危機的な状況の憂いを獣相手に語った。この時、獣はすぐに立ち去らず何か物思いするような様子の後に去っていった。その夜、突然娘の月水が止まり、驚きつつも急いで身を浄め、縮を完成させることが出来た。父親が問屋に品を納めた頃、俄に生理が再開した。娘は、異獣が助けてくれたのだと感じ、人々もこれを聞いて不思議な出来事に思いを馳せた。
※この「第2記録」の解説は、「異獣」の解説の一部です。
「第2記録」を含む「異獣」の記事については、「異獣」の概要を参照ください。
- 第2記録のページへのリンク