第三様式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 23:56 UTC 版)
「ポンペイの壁画の様式」の記事における「第三様式」の解説
「第三様式」は前の時代の厳格さの反動として前20年または前10年頃から始まった。カラフルな人や物の姿をかたどった装飾が現れ全体的により装飾的な印象を与える。そしてしばしば非常に洗練された技術を見せる。 この様式の特徴はイリュージョニスティックな手法からの脱却である。尤もこのような手法は装飾的な人や物の像と共に後にこの様式の中で密かに息を吹き返すことになる。第三様式の絵は中央の要素により決定付けられるシンメトリーの法則に厳格に従っており水平方向に三つの領域、縦方向に三つまたは五つの領域に分割されていた。水平方向には幾何学文様や柱礎、燭台にかけられた細い枝葉でできた帯などで画面が分割され、鳥などの優美なモチーフや空想的な動物などが背景に描かれる。植物や特にエジプトの動物などがよく描かれた。これはアウグストゥスがクレオパトラを破って前30年にエジプトを併合した後のエジプト趣味を反映している。 これらの絵では第二様式の三次元の世界に代わって、主に単色の優美な線描で描かれた空想的な物で装飾されている。プリマ・ポルタのリウィア荘(en)(前30-前20年頃)にその例を見ることができる。ボスコトレカーセ(前10年頃)のアグリッパ=ポストゥムス(en)荘の寝室(Cubiculum)No.15に見られる作例に類似した絵画もこの様式に属する。これらの作例では単色の背景の上に繊細な建築要素の枠が描かれその中央に浮かぶ島のように小さく風景だけが描かれる。 第三様式はローマでは40年まで、ポンペイでは60年まで見られる。
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