秦博士シリーズ
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秦博士は藍霄の現在唯一のシリーズ探偵で、「迎新舞会殺人事件」(『推理雑誌』72号、1990年10月)を皮切りに、『推理雑誌』上で短編作品が次々と発表された。2004年からは3長編『錯置体』、『光与影』、『天人菊殺人事件』が出版された。そのうち『光与影』は第5回皇冠大衆小説賞の2次選考通過作品である。 このシリーズは謎解きの風味が濃厚であり、台湾の推理小説の中でも高水準の本格推理小説である。さらに、探偵役を務める秦博士とその助手たちは初登場時にみな大学生で、それによりかなり軽妙な雰囲気を持っており、本シリーズの極めて明確な特色となっている。シリーズの登場人物は非常に多いが、作者は登場人物にかなり明確な、ときには漫画のキャラクターのような性格を与えており、読者が登場人物の判別に苦労することはない。このほか、秦博士シリーズが持つ非常に特殊な特徴として、短編作品と長編作品とで登場人物の年齢に大きな隔たりがあることが挙げられる。短編作品では主要登場人物は青年であり、そのため事件を軽々しく扱っているようなところも見られる。一方、長編の『錯置体』や『光与影』では、登場人物はみな社会人になっており、それにより小説の社会性も強まっている。同時に、事件の残酷な面も次第に増加している。台湾のシリーズ物の推理小説のなかでもあまり見られない、登場人物が時の経過ととも成長していく作品であるといえる。
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