病態と疫学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/14 07:57 UTC 版)
肝臓で作られた胆汁は、左右の肝管から総肝管・胆嚢・総胆管(いわゆる肝外胆管)を通って十二指腸のファーター乳頭から排出される。胆道閉鎖症の患児では、生後早期にこの肝外胆管が炎症性に破壊され、胆汁の流れが堰き止められる。この結果、排出できない胆汁が上流の肝臓に蓄積され(胆汁鬱滞)、閉塞性黄疸を来す。このため患児では、直接ビリルビン優位の高ビリルビン血症を示す。放置すると肝内に鬱滞した胆汁によって胆汁性肝硬変が引き起こされ、致死的となるおそれがある。約85%で肝門部を主病変とし、この部分の線維化・結合織置換が見られるが、病変が肝内の小葉間胆管まで及ぶ例も多いという。 1万人あたりの出生率は1.03〜1.37程度と見積もられている。統計上女児の発生率が男児に比べやや高いことが知られている。また人種差・季節差などが報告されているが、調査は不十分である。明らかな遺伝性は報告されておらず、多因子遺伝の関係が示唆されている。海外では無脾症(英語版)・多脾症(英語版)(内臓錯位症候群(英語版))との合併が報告されているが、日本では海外に比して合併率が低い。ヨーロッパ・アメリカ合衆国で行われた症例調査では、およそ10%に脾臓異常との合併が見られ、Biliary atresia splenic malfomation syndrome (BASM) などと呼ばれている。 原因としては胆道形成異常説、何らかのウイルス感染説(レオウイルス、ロタウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、パピローマウイルスなど)、自己免疫などの免疫異常説ほかが唱えられているが、どれも決め手に欠けている。
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