生殖補助医療技術(ART)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 01:40 UTC 版)
生殖補助医療技術(Assisted Reproductive Technology; ART)の一般的な手順をまとめる。まず卵子と精子の採取を行う。卵子の採取は排卵誘発法を行い、卵胞の発育を促し超音波ガイド下で卵巣を穿刺し、複数個の卵子を採取する。精子は用手法で採取する。2014年現在この後の方法は、体外受精(In Vitro Fertilization; IVF)とするか顕微授精(IntraCytoplasmic Sperm Injection; ICSI; いくしー)にするかに大きく分かれる。一般的にはIVFで失敗した場合はICSIとするが、男性不妊(精子が少ない運動率が悪い奇形率が高い)がわかっている時にははじめからICSIを選択する。IVFは培養液中で精子と卵子を受精させる。ICSIでは顕微鏡下で卵細胞内に直接精子を注入する。受精卵を得られたら、子宮内で発育するように胚移植(In Vitro Fertilization - Embryo Transfer; IVF-ET)を行う。胚盤胞まで培養後に移植する胚盤胞移植((In Vitro Fertilization - Blastocyst Transfer; IVF-BT)を行う場合もある。移植後、黄体維持療法として母体にhCGの投与を行う。 かつては、腹腔鏡を用いて精子と卵子を卵管内に移植をする配偶子卵管内移植(Gamate Intrafallopian Transfer; GIFT; ぎふと)、腹腔鏡を用いて受精卵を卵管内に戻す接合子卵管内移植(Zygote Intrafallopian Transfer; ZIFT; じふと)という方法がとられていたが2008年現在、施行されるのは稀である。培養技術が進歩したことにより培養液中でより成熟した受精卵を得ることができるようになった。以前は初期胚(8細胞期まで)を胚移植するIVF-ETが主流で、3個移植も行っていたため多胎妊娠が非常に多かった。近年は桑実胚や胚盤胞を1~2個(原則1個)移植するIVF-BTが増えてきため多胎率も軽減された。
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