生成元と関係式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/29 09:27 UTC 版)
次の 3つのブレイドを考える。 σ1 σ2 σ3 B4 のすべてもブレイドは、これらのブレイドと逆元とを合成として表すことができる。言い換えると、これらの 3つの組みひもは、群 B4 を生成する。このことを見るには、任意の組みひも左端を始点として、左から右へ交点を探すと、糸 i と i + 1 が交わったときはいつも糸 i が糸 i + 1 の上を通るか下を通るかに従い、σi、あるいは σi−1 と書くことにする。このことを繰り返し右端へ至ると、組みひもは σ とその逆元の積として書き表すことができることが分る。 (i) σ1σ3 = σ3σ1, であることは明らかであることに対し、次の 2つの関係式は全く明らかであるとは言えない。 (iia) σ1σ2σ1 = σ2σ1σ2, (iib) σ2σ3σ2 = σ3σ2σ3 (これらは、一枚の紙の上にブレイドを描くことによりよく理解できる。)ブレイド σ1, σ2, σ3 の間にある他の全ての関係は、上の関係式と群の公理から得ることができる。 この例を n 本の糸へ一般化すると、群 Bn が、次の表示(presentation)を通して抽象的に定義される。 B n = ⟨ σ 1 , … , σ n − 1 | σ i σ i + 1 σ i = σ i + 1 σ i σ i + 1 , σ i σ j = σ j σ i ⟩ . {\displaystyle B_{n}=\left\langle \sigma _{1},\ldots ,\sigma _{n-1}|\sigma _{i}\sigma _{i+1}\sigma _{i}=\sigma _{i+1}\sigma _{i}\sigma _{i+1},\sigma _{i}\sigma _{j}=\sigma _{j}\sigma _{i}\right\rangle \ .} ここに、最初の等式では 1 ≤ i ≤ n−2 であり、第二の等式では |i − j| ≥ 2 である。この表示は、アルティン群(英語版)(Artin group)と呼ばれるブレイド群の一般化を導く。ブレイド関係式として知られている三つ組の恒等式は、ヤン・バクスター方程式(英語版)(Yang–Baxter equation)の理論の中で重要な役目を担う。
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