甘草栽培と製菓業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 16:17 UTC 版)
ポンテフラクトでは甘草(リコリス)の栽培が盛んで、甘草の栽培と菓子の製造は町の重要な産業の一つになっている。もともと低湿地に面したポンテフラクトの、深く砂っぽい土壌は甘草の生産に適していて、ポンテフラクトはイギリスで数少ない甘草の産地となった。甘草はローマ時代にアジアから導入されたとも、11世紀の十字軍で持ち帰られたものとも伝えられている。遅くとも16世紀半ばにはクリュニー修道院の修道士たちポンテフラクトで甘草を栽培するようになったとされている。 当地では甘草の品種改良も行われた。南方系の植物である甘草は、本来、青から紫色の花をつけるのだが、ヨーク地方の寒冷な気候では花をつけなかった。しかしそのために根の糖分はむしろ増え、より甘くなった。18世紀には町の薬剤師だったジョージ・ダンヒル(George Dunhill)が、甘草に砂糖を加えた薬用トローチを作るようになった。これは「ポンテフラクトケーキ(Pontefract Cake)」とか「ポンフレット(Pomfret)」の名前で人気になった。いまでは、町には甘草から甘味料を製造する工場があり、テディベアの形をしたグミで知られるHARIBOなど、様々な製菓会社の工場がある。 映画『007シリーズ』で、リチャード・キール演じる悪役「ジョーズ」がロープウェイのケーブルを噛み切るシーンでは、ポンテフラクトの製菓企業が製造した甘草製のケーブルが使われている。詩人ベッジュマン(John Betjeman)は「ポンテフラクトの甘草畑」という詩を詠んだ。ポンテフラクトでは毎年「甘草祭(Liquorice Festival)」がある。しかし、ここ200年ほどは、チョコレートの普及によって甘草の栽培量は減少傾向にある。
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