球麻痺と偽性(仮性)球麻痺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/25 10:26 UTC 版)
「嚥下障害」の記事における「球麻痺と偽性(仮性)球麻痺」の解説
球麻痺とは延髄の諸脳神経(舌咽神経、迷走神経、舌下神経)の運動神経核の障害により、発語、発声、嚥下、呼吸、循環などの障害をきたして生じる症状である。偽性球麻痺とは延髄神経核の上位ニューロンである皮質延髄路の障害によって生じる症状をさす。嚥下障害において両者の障害は異なると考えられている。 球麻痺の嚥下障害 球麻痺では延髄にある疑核、弧束核、網様体および嚥下関連ニューロン障害で嚥下障害をきたす。典型例は脳血管障害ではワレンベルグ症候群、変性疾患では筋萎縮性側索硬化症などがあれられる。嚥下動態では口腔相障害は軽度であり、咽頭相である嚥下反射障害が主体である。嚥下反射が起こりにくく、起こっても不十分である。CPGによる嚥下筋群の活動様式のプログラム異常と考えられている。軟口蓋、咽頭挙上、咽頭収縮、食道入口部開大などの運動障害が認められる。停滞型の嚥下障害である。 偽性球麻痺の嚥下障害 皮質延髄路障害であり、皮質・皮質下型、線状体型、橋型の3型が知られているが嚥下動態は同様である。従来は両側病変で生じるとされていたが皮質領域の片側性病変でも嚥下障害が生じるという報告がされている。反射は起こりにくいが、嚥下中枢自体は障害されていないため、嚥下反射が起こればそのパターンは保たれている。嚥下動態は口腔相の障害(食塊形成不良)、咽頭期への移送の障害、嚥下障害の惹起不良が主体である。口腔期と咽頭期のタイミングがずれることが問題となり、嚥下反射は保たれる。食塊形成しにくい水分は特に誤嚥しやすい。
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