王権の反発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 22:35 UTC 版)
しかしながら、このような強大な権力に対して王権より反発する論理が生まれた。 トトメス3世のように、第18王朝前半の諸王はいずれも勇敢な戦士であり、すぐれた軍事指導者であった。帝国の拡大はこの王の資質を生かした度重なる親征によって実現されたものであった。しかし、新王国においても神王理念は重んじられ、王はファラオという地位の所有者であるとみなされており、伝統的には「人性」よりも「地位」が優先されている状況であった。それでも、従来の伝統的な王権観が要求する慣例に従っていては軍事作戦などは臨機応変に対応できない状況が生まれたことにより、やはり王はまた有能な将軍でもなければならないという新しい理念が帝国の拡大に伴い加わった結果、価値観が逆転し王の人格が全面に押し出された。 こうして、王の自負心は増大し、やがて伝統や慣例よりも、王の意思が優越する専制君主観が現実の権威に支えられて急激に成長したのである。
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