状態密度の計算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/09 20:03 UTC 版)
化合物や生体分子、高分子など、興味の対象となる系は一般的に複雑である。これらの系は解析的に状態密度を計算するには複雑すぎ、ほとんどの場合それは不可能である。高精度の状態密度をコンピュータシミュレーションにより計算するアルゴリズムがいくつか知られている。その一つとしてワン・ランダウのアルゴリズムが挙げられる。 ワン・ランダウ法の枠組みの中では、状態密度に関する事前知識は一切必要がない。まず系のコスト関数(たとえばエネルギー)を離散化し、階級 i に到達するごとに状態密度のヒストグラム g(i) を次のように更新する。 g ( i ) → g ( i ) + f {\displaystyle g(i)\rightarrow g(i)+f} ここで f は修正因子である。この階級に特定の回数 (7001100000000000000♠10–15) だけ到達するごとに修正因子は何らかの基準により減少させる。例えば以下のように処理する。 f n + 1 → ( 1 / 2 ) f n {\displaystyle f_{n+1}\rightarrow (1/2)f_{n}} ここで n は更新が n 回目であることを示す。特定の閾値に修正因子が到達したとき、たとえば fn < 10−8 となったときにシミュレーションを終了する。 ワン・ランダウ法はマルチカノニカル法やレプリカ交換法などに比べていくつかの利点を持っている。たとえば、状態密度がシミュレーションの主目的として算出される。また、ワン・ランダウ法は完全に温度非依存である。この性質により、タンパク質のような非常にでこぼこしたエネルギー地形を持つ系に対しても状態密度を計算することができる。 数学的には、状態密度は被覆写像を用いて形式化することができる。
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