特別危機管理銀行(とくべつききかんりぎんこう)
経営が破たんし債務超過に陥った銀行を一時的に国が管理して、金融の分野における信用秩序を維持する。金融危機に対応するための手法のひとつ。
銀行などの金融機関の経営が破たんし債務超過に陥っている場合、政府は金融危機対応会議を開き、特別危機管理銀行として一時国有化することを決定できる。このとき、預金保険法102条第3号の認定をし、必要な措置(第3号措置という)を実施する。
一時国有化は、経営破たんした銀行のすべての株式を取得することによって行う。破たんした銀行の株式は、債務超過のため価値がないので、価格ゼロ円で発行済み株式をすべて強制取得する。一時国有化は、取得した株式を受け皿となる別の金融機関に売却するまでの一時的な措置。
政府は、一時国有化を決めると、特別危機管理銀行の役員を選任し、経営を監督する。また、旧経営陣の経営責任を明確にするため、民事上および刑事上の法的措置を取ることが義務づけられている。
政府は29日、首相官邸で金融危機対応会議を開き、債務超過に陥った足利銀行の破たんを認定した上で、預金保険法に基づく初の特別危機管理銀行とすることを決めた。
銀行の一時国有化には、金融再生法に基づく日本長期信用銀行などの例がある。ちなみに、りそなグループへの公的資本注入で使われた第1号措置は、自己資本不足に陥っても債務超過ではない経営危機の銀行が対象。債務超過に陥り、経営破たんした銀行に対する第3号措置とは異なる。
(2003.12.01掲載)
特別危機管理銀行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/18 09:37 UTC 版)
特別危機管理銀行(とくべつききかんりぎんこう)とは、預金保険法102条一項三号を適用された銀行である。
2001年の預金保険法改正で金融危機対応に関する同法102条が新設した事に伴い規定された。2009年時点では足利銀行が2003年10月から2008年7月に亘り指定されたのみである。
概要
不良債権の増大や粉飾決算などによって自己資本を毀損して債務超過状態に陥った場合、預金の払い戻しが困難となり銀行等の預金金融機関は経営破綻することとなる。金融庁の監査結果を踏まえて内閣府の金融危機対応会議で「預金保険法102条一項三号」が認定された場合、特別危機管理銀行となり、株式会社である銀行の全株式を預金保険機構が強制的に無償で取得することになる。その後、経営陣は内閣総理大臣の命によって金融庁から指名される。新しい経営陣は旧経営陣に対する責任追及を行い、民事上や刑事上の必要な処置を行わなければならない。
その後、必要な資金援助を行い健全資産を保持し、不良資産は整理回収機構に売却して再建を計る。他の金融機関への合併、事業譲渡や預金保険機構の株式を売却することで処置が終了する。
特別公的管理
特別危機管理の前身にあたる制度として、1998年に施行された金融再生法第6章における特別公的管理が、2001年3月までに管理を終了する時限措置として定められていた。この制度では破綻前の処理も想定されており金融機関の株式取得にあたって取得価格を後に決めた結果、実際の適用例では債務超過状態にあると認定して無償取得していたが、特別危機管理の処理では債務超過の金融機関の処理に限定されているため、常に無償で取得することになった。
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