物理学での例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 14:36 UTC 版)
ポアソン方程式は電磁気学、移動現象論、流体力学といった物理学の諸領域において、系を記述する基礎方程式として現れる。例えば、電荷分布を与えたときの静電ポテンシャルや質量分布を与えたときの重力ポテンシャルを記述する方程式はポアソン方程式であり、その代表的な例である。また、熱の発生源が存在する場合の温度分布や物質の発生・消滅源が存在する場合の物質濃度分布においても、時間に依存性しない定常状態を記述する方程式はポアソン方程式となる。 電磁気学の例 ポアソン方程式で記述される物理現象としては、電磁気学における静電ポテンシャルがある。与えられた電荷の分布ρとしたときに、静電ポテンシャルφは次のポアソン方程式を満たす。 Δ ϕ = − ρ ϵ 0 {\displaystyle \Delta \phi =-{\rho \over \epsilon _{0}}} 重力ポテンシャルの例 ρ(x)を与えられた質量分布としたときに、重力ポテンシャルφ(x)は次のポアソン方程式を満たす。 Δ ϕ = 4 π G ρ {\displaystyle \Delta \phi =4\pi G\rho } ここでGは万有引力定数である。 熱伝導による温度分布の例 内部に放射線源やジュール熱を発する抵抗を熱源に持つ物質の温度分布T(x)を考える。熱流束をJ(x)とし、熱源の分布をs(x)とする。このとき、J(x)の発散は単位体積当たりの熱の放出に相当するが、時間について不変となる定常状態ではs(x)に一致する。 ∇ ⋅ J = s {\displaystyle \nabla \cdot {\boldsymbol {J}}=s} 一方、フーリエの法則に基づき、熱流束は温度勾配に比例する。 J = − λ ∇ T {\displaystyle {\boldsymbol {J}}=-\lambda \nabla T} ここではλは熱伝導率を表す。これを上式に代入すれば、ポアソン方程式 Δ T = − s λ {\displaystyle \Delta T=-{\frac {s}{\lambda }}} を得る。
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