炭酸固定反応系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 18:18 UTC 版)
カルビン回路による炭素固定反応には糖の循環が必要である。上記にも筆記したがこの炭酸固定反応系は以下の反応からなる。糖の炭素数を特記しておく。 D-リブロース-1,5-ビスリン酸 (RuBP, C5) + CO2 → 2分子の3-ホスホグリセリン酸 (C3×2) 3-ホスホグリセリン酸 (C3) + ATP → 1,3-ビスホスホグリセリン酸 (C3) + ADP 1,3-ビスホスホグリセリン酸 (C3) + NADPH → グリセルアルデヒド-3-リン酸 (C3) + NADP++ Pi このグリセルアルデヒド3-リン酸を起点にして、4つの反応がカルビン回路には存在する。その4つの反応はそれぞれ以下の通りである。 グリセルアルデヒド-3-リン酸 (C3) + セドヘプツロース-7-リン酸 (C7) → リボース-5-リン酸 (C5) + キシルロース-5-リン酸 (C5) グリセルアルデヒド3-リン酸 (C3) → ジヒドロキシアセトンリン酸 (C3) グリセルアルデヒド3-リン酸 (C3) + ジヒドロキシアセトンリン酸 (C3) → フルクトース-1,6-ビスリン酸 (C6) グリセルアルデヒド3-リン酸 (C3) + フルクトース-6-リン酸 (C6) → エリトロース-4-リン酸 (C4) + キシルロース-5-リン酸 (C5) うち、2 の反応は葉緑体外部へ輸送されるジヒドロキシアセトンリン酸を合成する反応であり、輸送には3回転を要することが判る。また、3.はそのまま多糖変換系に続く反応であるが、6回転分の炭素固定数に足りなければ、4 の反応へフルクトースが使用される。 ジヒドロキシアセトンリン酸もそれを起点にいくつかの反応が起きるが、それらは 葉緑体外部への輸送 フルクトース1,6ビスリン酸合成反応(3 の反応) ジヒドロキシアセトンリン酸 (C3) + 4 由来のエリトロース4-リン酸 (C4) → セドヘプツロース1,7-ビスリン酸 (C7) である。上記の反応から合成されたセドヘプツロース1,7-ビスリン酸は セドヘプツロース-1,7-ビスリン酸 (C7) → セドヘプツロース-7-リン酸 (C7) + Pi という反応に組み込まれ、セドヘプツロース-7-リン酸はグリセルアルデヒド-3-リン酸の反応1.に組み込まれる。グリセルアルデヒド-3-リン酸の1.の反応により合成されるリボース-5-リン酸およびキシルロース-5-リン酸はそれぞれリブロース-5-リン酸に変換される。 リボース-5-リン酸 (C5) → リブロース-5-リン酸 (C5) キシルロース-5-リン酸 (C5) → リブロース-5-リン酸 (C5) リブロース-5-リン酸は以下の反応により再び、炭酸固定反応に組み込まれる。 リブロース-5-リン酸 (C5) + ATP → リブロース-1,5-ビスリン酸 (C5) + ADP なお、上記の12反応に使用される酵素は上から順番に以下の通りである。 リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ (RubisCO) ホスホグリセレートキナーゼ グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ グリセルアルデヒド-3-リン酸:セドヘプツロース7-リン酸トランスケトラーゼ トリオースリン酸イソメラーゼ グリセルアルデヒド-3-リン酸:ジヒドロキシアセトンリン酸アルドラーゼ グリセルアルデヒド-3-リン酸フルクトース-6-リン酸トランスケトラーゼ ジヒドロキシアセトンリン酸:エリトロース-4-リン酸アルドラーゼ セドヘプツロースビスホスファターゼ リボース-5-リン酸イソメラーゼ キシルロース-5-リン酸エピメラーゼ 5-ホスホリブロキナーゼ
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