溶液測定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/03 17:45 UTC 版)
通常の溶液測定では測定する化合物を溶媒に溶かし、溶液を無機ガラス製のNMRチューブに入れ、磁石内に設置されたプローブに入れて測定する。有機化学で一般に使われる溶媒にはプロトンが多量に含まれており、このような溶媒を使ってプロトン NMR を測定すると溶媒成分の信号が非常に強くなり、溶質信号の観測が非常に困難になる。そこでこの測定に用いる溶媒として、プロトンを重水素に置き換えた溶媒(重溶媒)を用いる。重溶媒の役割には重水素のNMR信号をロック信号として使うこともあるが、FT-NMR以前のCW-NMRでは水素を含まない四塩化炭素も溶媒としてよく用いられていた。これは、CW-NMRではほとんどの装置が磁場掃引型であり、測定時に磁場を変化させるため信号ロック自体が成立せず、ゆえにロックのための重水素も不必要だったからである。 溶液測定用装置で固体試料をそのまま測定した場合はほとんど信号は観測できず、固体試料測定には後述の固体NMR用の装置を使う。ただし食品や動植物など流動性成分を含む試料では信号が観測される場合もある。
※この「溶液測定」の解説は、「核磁気共鳴分光法」の解説の一部です。
「溶液測定」を含む「核磁気共鳴分光法」の記事については、「核磁気共鳴分光法」の概要を参照ください。
- 溶液測定のページへのリンク