温度計への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 06:14 UTC 版)
ゲイ=リュサックの理論が理想気体のみでしか成り立たないという発見は、温度計の分野において大きな転換点になった。そもそも温度計は、温度によって基準物質(水銀など)が体積変化(または圧力変化)する現象を利用している。そして当時は、熱の本質はカロリック(熱素)という物質であるという、カロリック説が主流であった。カロリック説によれば、温度とはカロリックの量で決まるため、カロリックの量を正しく反映させることのできる温度計が優れた温度計となる。そして、ゲイ=リュサックの実験によれば、気体においてはどの気体でも熱膨張率が一定であるので、このことから気体は液体や固体と比べて物体の種類に影響されることなく、カロリックの量を正確に反映した体積変化をすると考えられていたのである。以上のことから、ピエール=シモン・ラプラスは1825年、著書『天体力学』5巻において、気体である空気を基準物質とした空気温度計こそが真の温度計だと主張した。 しかし、ルニョーによって気体の熱膨張率が気体の種類によって異なることが明らかになると、空気温度計を真の温度計として他と比べて絶対視することはできなくなった。ウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)は1848年、特定の物質を基準物質として、それで絶対的な尺度を得ることはできないと述べた。
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