渡切費(わたりきりひ)
日本全国で合わせて約19,000局ある特定郵便局に国から支給されている運営経費のこと。使いみちを定めず支給されるので、その会計に不透明になりがちだ。
渡切費は、会計法(第23条)に基づき、特例会計として政府機関向けに支給されている。特定郵便局をはじめ、法務局の登記所や外務省の在外公館などで採用されている制度だ。主に交際費や光熱費として使われる。
特定郵便局の局長に渡切費を支給することで、煩雑な会計処理の負担を軽減することが狙いのようだ。そのため、渡切費は局長の自由裁量で使うことができるとされている。
しかし、渡切費の使いみちは不透明で、その実態は明らかにされていない。内部の飲食代として消えていったり、組織ぐるみでの選挙活動に使われたりしていたとの疑惑も浮上している。東北地区の特定郵便局長が集まった業務推進連絡会では、不正経理により渡切費の一部をプールした疑惑が明らかになった。
2000年度の実績で、特定郵便局向けの渡切費は、総額で912億円にものぼっている。平均すると、1局あたりでおよそ500万円が支給されているという計算だ。総務省は、2002年度予算で、渡切費として938億円を要求しているところだった。
(2001.10.29更新)
渡切費
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/14 14:44 UTC 版)
渡切費(わたしきりひ)は特例会計制度のこと[1]。
概要
経費を一括して経理担当者に前渡しをし、光熱費等の必要経費の精算を簡素化する目的で設けられた[1]。
1947年に会計法第23条の規定で政府機関向けの特例会計制度として設定された(なお、渡切費制度自体は明治時代から存在していた)[1][2]。総務省(旧郵政省)郵政事業庁(旧郵務局)の特定郵便局や法務省の法務局登記所、外務省の在外公館で採用されていた[3]。
不正発覚による廃止
特定郵便局の渡切費は2001年の第19回参議院議員通常選挙で全国郵便局長会の支援を得ていた、同組織の組織内候補である高祖憲治の選挙違反事件で注目されるようになった。この事件になて特定郵便局の渡切費が選挙活動に流用されている疑惑が浮上し、さらに東北特定郵便局業務推進連絡会による役員局長向け渡切費の不正流用問題も発覚した[2]。また、在外公館の渡切費でも使途に厳密な報告義務がないとして、「第二の機密費」との批判が出た[1]。
こうした批判も出たことで、渡切費は2002年度予算から計上されなくなった。2002年7月31日に会計法第23条を削除する旨の日本郵政公社法施行法が成立し、2003年4月1日に施行されたことで渡切費制度は廃止された。
脚注
関連項目
渡切費と同じ種類の言葉
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