海洋底拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 00:18 UTC 版)
地球表面の地殻の下にあるマントルは、地球中心部の核に近い部分が温められ、表面に近い部分が冷却されるため、お椀に注がれた熱い味噌汁が対流しているようにゆっくり対流している(注意すべきはマントルは決して軟らかい液体でなく硬い固体である)。対流の速度と位置はほぼ一定しており、マントルの上昇してくる場所は決まっている。上昇してきたマントルは左右に分かれて、地殻の下を水平に動き、やがて冷やされて沈んでゆく。海洋底はマントルの動きに乗って、拡大し、移動し、ぶつかり合い、沈む。この海洋底が生成され、拡大している場所が中央海嶺に相当する。なお、陸塊は海洋底に比べて比重が小さく、ぶつかり合っても沈むことはない。1972年まではこのような海洋底拡大説が信じられていたが、海嶺に大きなフリーエア重力異常がないため、海嶺がマントル対流が上昇する場所であるという考えは否定された。重力異常があるのはホットスポットであり、ホットスポットこそがマントル対流が能動的にマントル中部やマントル下部から上昇する場所である。この意見は1990年以降のマントルトモグラフィーで証明された。海嶺でおこるマントル上昇は消極的なものであり、両側から引っ張られた空隙を埋める活動である。そのため、マントルトモグラフィーから観察される上昇流の根は100kmに達しない浅いものである。
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