流体力学における相似則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/07/10 01:52 UTC 版)
二つの物体(実機と模型)の運動が幾何学的および運動学的に相似であるときに、その周りの流体の運動について力のはたらき方が相似になる条件、すなわち力学的相似の条件について考えると、以下の相似則が得られる。 ニュートンの相似則 重力の影響や粘性の影響あるいは圧縮性の影響がないと考えれば流体の運動を決定するのは慣性力F である。慣性力には、U を代表速度、L を代表長さ、ρを流体密度として F ∝ ρ U 2 L 2 {\displaystyle F\propto \rho U^{2}L^{2}} すなわち抵抗係数 cF で表せば c F ≡ F ρ U 2 L 2 = c o n s t . {\displaystyle c_{F}\equiv {\frac {F}{\rho U^{2}L^{2}}}=\mathrm {const.} } の関係がある。これをニュートンの相似則と言う。粘性や重力あるいは圧縮性が作用しない場合には相似の物体において抵抗係数が一定になる。 レイノルズの相似則 粘性の作用が加わる場合に、レイノルズ数が等しければ粘性力のはたらき方が相似になることをレイノルズの相似則と言う。幾何学的相似の物体について力のはたらき方が相似となるためには、慣性力と粘性力の比が一定にならなければならない。流体中で粘性の作用のみを考えたとき、レイノルズ数が等しければ抵抗係数も等しくなる。 フルードの相似則 重力の影響がある場合、その作用が相似となるためには、慣性力と重力の比を表すフルード数が等しくなければならない。これをフルードの相似則と言う。 圧縮性流体の相似則 圧縮性の効果すなわち密度ρの変化はマッハ数M の2乗に比例する: d ρ ρ ∝ M 2 {\displaystyle {\frac {d\rho }{\rho }}\propto M^{2}} プラントル・グラワートの相似則 亜音速流の物体(翼形状)表面における圧力係数は、物体の幅をμ倍、厚みを 1/(λμ)倍にした模型の対応点における非圧縮流れの圧力係数をλ倍することにより得られる。これをプラントル・グラワートの相似則(Prandtl-Glauert transformation)と言う。特に、λ = 1/μ2 の場合をゴサート(Goethert)の相似則と言う。 この相似則には次のような表式もある。これは同一の翼型周りの亜音速状態(M∞2 < 1)での圧縮流と非圧縮流に対する揚力係数(それぞれCp , Cp0 とする)の変換式である。グラワート(英語版) (1927)が発表したが、プラントルも同じ変換式を見出していた。 C p = C p 0 1 − M ∞ 2 {\displaystyle C_{p}={\frac {C_{p0}}{\sqrt {1-M_{\infty }^{2}}}}}
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